皆さんこんにちは。THE BARBER CITY運営者の“市長”だ。
・もみあげが伸びて、耳にかかってきた
・自分で整えたいが、失敗しそうで怖い
・どこまで切っていいのか分からない
このように悩んでいる人は、少なくないだろう。
この記事では、伸びてきたもみあげを次に切ってもらうまでどう保つかを解説する。どこを基準にするのか、何をやり、そして何をやってはいけないのか。私自身がセルフカットで失敗した話も含めて書く。
結論、もみあげは、自分で剃り落とすものではない。切るのは、耳にかかった毛先だけでいい。
剃りすぎないこと——それがもみあげの整え方における最大のコツである。
私はバーバースタイルを10年以上続けている。カットの間隔が空けば、もみあげは必ず伸びてくる。その付き合い方を、担当の美容師に相談しながら10年かけて決めてきた。
読み終えたとき、あなたの手元には次の予約まで「野暮ったく見せない」ための基準が残っているはずだ。かっこよく仕上げるための技術ではない。冴えなく見せないための、見た目を保つための技術を解説していく。
この記事はこんな人に向けて書いています。

とある病院で働く医療従事者でありながら、バーバースタイルをこよなく愛する男。
- バーバースタイル歴10数年
- 毎日クラシックバーバースタイル
- 今まで試した整髪料は30種類以上
自らの経験・知見をもとに、皆さんの「男を上げる」ための情報を発信中。
結論|もみあげは「剃り落とす」ものではなく「保つ」もの
もみあげについて、最初に押さえてほしい結論がある。もみあげは、自分で「作る」ものではない。プロが作った形を、次のカットまで「保つ」ものである。
なぜこの2つを分けるのか。形を作る作業と、形を保つ作業は、まったく別の仕事だからだ。
形を作るというのは、もみあげの長さと太さを決め、その上にあるサイドの髪と自然につなげる作業である。一方、形を保つというのは、すでに決まっている形から、伸びてはみ出した分だけを切る作業だ。
市長イメージとしては前者は設計であり、後者は掃除に近い。
この線引きは、私の思いつきではない。メンズカット専門のサロンで働く美容師・伊藤晃氏は、セルフカットの範囲についてこう書いている。
サイドと襟足のメンテナンスだけに限定し、トップのシルエット変更は美容院に任せることで、清潔感と失敗リスクのバランスが最適になります
(出典:LIBER shibuya「メンズセルフカットの失敗しない範囲と限界を完全解説」)
同氏は、プロに任せるべき領域として「骨格に合わせたベースカット全体の設計」「後頭部の丸みを出すレイヤーの入れ方」、そして「0.8〜3ミリのフェードカットのボカし」を挙げている。
つまり、メンテナンス(保つこと)は自分の領分であり、設計(作ること)はプロの領分であるということだ。
だからこの記事のゴールは「かっこよく仕上げる」ではない。「野暮ったく見せない」——それだけである。目標を高く置かないこと。それが、剃りすぎないためのいちばん確実な予防線になる。


もみあげを3ヶ月放置するとどうなるか?
もみあげを放置すると、単に「長くなる」だけでは済まない。耳にかかって膨らみ、セット全体が決まらなくなる。
理由は単純で、伸びるのはもみあげだけではないからだ。髪は月に約1cm伸びる。3ヶ月経てば、およそ3cm。もみあげが伸びるとき、そのすぐ上にあるサイドの髪も同じように伸びている。もみあげ単体ではなく、耳のまわり一帯が同時に膨らむのである。
下の写真は、カットから3ヶ月経った時点の私である。


見てのとおり、サイドの髪が耳の上部を覆っている。もみあげは耳たぶより下まで伸び、毛先はうしろへ流れている。私の髪は直毛で硬く、量が多い。それでも、この長さになると毛先は少しうしろへ向く。
そしてこの状態のとき、



髪が、伸びたな。ボサボサでスッキリしないし、耳にかかってじゃまだ。セットも上手く決まらない
と鏡を見ながら悩んでいた。
ここで注目してほしいのは、最後の一言だ。もみあげの伸びは、見た目の問題であると同時に、セットの問題でもある。サイドが膨らめば、どれだけトップを流しても横のシルエットが決まらない。整髪料の量を増やしても解決しない。伸びているものは、伸びているからだ。
つまり、もみあげを整えることは身だしなみの話であると同時に、その日のセットを成立させるための土台でもある。
なお、セットが決まらない原因はもみあげだけではない。乾かし方、整髪料の量、湿気——原因はいくつもある。そちらは大黒柱の記事にまとめてある。


もみあげの基準は「耳の穴」
もみあげとは、耳の前を縦に降りている毛のことである。頬と髪の境界にあたる部分だ。
そのうえで整えるときに持っておきたいのは、たった1つ、「耳の穴」という基準点である。
なぜ基準点が必要なのか。もみあげの「正解の長さ」には、絶対的な答えが存在しないからである。顔の形も髪型も人によって違う以上、万人に共通する数字はない。だが自分の中に基準点を1つ決めておけば、「伸びたかどうか」は毎日その場で判断できる。判断できれば、切りすぎない。
サロンの解説でも、この考え方は共通している。ある美容室のブログでは「耳の穴の端を基準にするとわかりやすい」と説明されている。毎日の髭剃りのときに耳の穴のあたりまでを目安にしておけば、伸びてきたときも同じ基準で長さを決められる、という考え方だ。
長さの目安
| 仕上げたい印象 | 毛先の位置の目安 |
|---|---|
| 短くすっきり | 耳の穴の高さにくるあたり |
| 自然に見せる | 耳たぶの中ほどにくるあたり |


顔の形による方向性
| 顔の形 | 方向性 |
|---|---|
| 丸顔 | やや長めで細めにし、縦のラインを作ると引き締まって見えやすい |
| 面長 | 短めから標準の長さで少し太さを残し、縦の長さを強調しない |
ただし、これらはサロンの現場で言われている実務上の目安であり、絶対的な基準ではない。「こうでなければならない」ものとして受け取る必要はない。
そのうえで、
長さそのものより、顔との境界線がはっきりしているかどうかで判断してほしい。
短く刈っても境目がガタついていれば雑に見える。多少長さがあっても、輪郭が揃っていれば整って見える。見られているのは長さではなく、線のきれいさである。
なお、顔との境界線がものを言う場所は、もみあげだけではない。おでこと襟足も同じ理屈で見られている。3ヶ所をまとめて押さえたい場合はこちらを読んでほしい。


セルフカットで大失敗。フェードがツーブロックになった
ここからは、私の失敗の話をしよう。
以前、私は自分でもみあげを刈って、失敗している。
もみあげの左右の長さがズレ、しかも予定よりも沢山切ってしまったため、フェードカットではなくツーブロックっぽくなってしまった。
そして、このことについて担当の美容師に言われた言葉が、これだ。
「そこは下手に手を触れないほうがいいね〜」
一方で、先ほど紹介した美容師・伊藤晃氏は、バリカンでグラデーションを作る作業についてこう説明している。
バリカンを寝かせてスッと抜く動きを意識して”ぼかす”
線を先に硬く入れてしまうと、ぼかす余地が一気になくなります
(出典:LIBER shibuya「メンズセルフカットの失敗しない範囲と限界を完全解説」)
同氏がプロに任せてほしい領域として挙げているのが、まさに「0.8〜3ミリのフェードカットのボカし」である。
この細かなカットの技術は、素人がましてやセルフカットで再現できるものではないため、無理に自分で行わないことをおすすめする。
一度切ってしまった輪郭は、自分では戻せない。
もみあげは単体で独立しておらず、すぐ上のサイドの髪と一続きにつながっている。短くしようと刃を上へ動かせば、その手はグラデーションの領域に入る。
セルフカットで一番怖いのは、失敗した後に、次のカットまで隠せないことである。もみあげは顔の真横にあるため、帽子でも隠れない。
なお、フェードカットそのものについては、こちらの記事で解説している。
剃りすぎないための整え方|切るのは耳にかかった毛先だけ
ここからが実践編である。やることは1つしかない。
すでにある形から、伸びてはみ出した分だけを切る。形は変えない。
整える際のポイントは以下のは6つだ。
- 乾いた状態で、基準線と今の毛先を見比べる
- 切るのは、はみ出した分だけ
- 一度にまとめて切らない
- 左右は、正面の鏡だけで判断しない
- 道具は、刃の状態を確認してから使う
- 終わったら保湿する
順番に見ていく。
まず基準線を確認する
最初にやるのは確認である。
髪を乾いた状態にして、コームでもみあげをとかし、毛の流れをまっすぐにそろえる。コームを通すことで、もみあげの長さや生え方が確認しやすくなる。
なぜ乾かすのか。パナソニックの解説(監修:男性美容研究家・藤村岳氏)は、こう説明している。
濡れたもみあげは実際よりも長く見え、乾くと想定より短くなってしまう
濡れているともみあげが肌にはりついたり束になったりして、正確にカットしにくくなる
(出典:Panasonic UP LIFE「もみあげの整え方完全ガイド」)
濡れたまま切ると、乾いたときに想定より短くなる。切りすぎの多くは、ここから始まる。
そのうえで、さきほど決めた自分の基準(耳の穴の高さ、または耳たぶの中ほど)と、いまの毛先を見比べる。どれだけはみ出しているかを、切る前に目で確認しておく。
切るのは、基準線からはみ出した分だけ
切ってよいのは、次の2つである。
- 耳にかかっている毛先
- 頬のほうへはみ出している毛
逆に、手を入れないと決めておくべき場所が2つある。
- 頬のほうへはみ出している毛
- もみあげとサイドのつなぎ目(グラデーションの領域)
輪郭からはみ出したものだけを切る。これが「剃りすぎない」の具体的な中身だ。


一度にまとめて切らない
これは私の失敗の原因そのものである。予定よりも沢山切ってしまったのがケチの付け所だ。
もみあげは面積が小さい。小さいぶん、1回の動きで落ちる量の割合が大きくなる。「あと少し」を2回繰り返すと、もう戻せない。
少しずつ切って、そのつど鏡から離れて全体を見る。離れて見るというのがポイントだ。近くで見ていると、もみあげだけが視界を占めてしまい、顔全体のバランスが判断できなくなる。
左右は、正面の鏡だけで判断しない
もみあげのセルフカットで起きやすい失敗が、左右のズレである。
セルフカットの失敗例としてよく挙げられるのが、左右の高さがそろわず、顔ごと傾いて見えてしまう状態である。原因として指摘されるのは、手鏡の角度や鏡の位置による見落としだ。
もみあげは、正面からは正しく見えない場所にある。正面の鏡に映るもみあげは、顔の側面を斜めから見た姿だ。左右で角度の付き方が変わるため、同じ長さでも同じには見えない。
しかし、対策は至ってシンプルだ。
手鏡を使って、真横から片方ずつ確認する。そして片方を切ったら、すぐもう片方を切らない。一度離れて、正面から左右を見比べてから次に進む。
道具は「切る長さを固定できるか」で選ぶ
※ここから紹介する製品は、私が実際に使ったものではない。
メーカーの公開情報と仕様をもとに調べた「スペック比較」である。
道具選びの基準は、1つに絞っていい。切る長さをミリ単位で固定できるかどうかである。
理由は単純だ。切りすぎは、手の感覚で長さを決めようとしたときに起きる。アタッチメント(刈り高さを一定に保つ部品)で長さが固定されていれば、それ以上は物理的に切れない。腕ではなく、道具の側で切りすぎを止められる。
そのうえで、もみあげまわりの道具は3タイプに分かれる。
| タイプ | できること | 向き・不向き |
|---|---|---|
| ヘアーカッター(バリカン)型 | アタッチメントで長さを固定して刈る。外せば輪郭も整えられる | もみあげ全体の長さ合わせに向く。この記事のやり方に一番合う |
| フェイストリマー/エチケットカッター型 | 刃先が細く、輪郭を細かく整えやすい | 輪郭の仕上げ向き。長さを揃える用途には向かない |
| ハサミ+コーム | いちばん安く、いちばんゆっくり進められる | 慣れが要る。ただし「少しずつ切る」は最もやりやすい |
この中で初心者が1番使いやすいのがヘアーカッターだ。具体例を挙げると、以下のようなアイテムがある。
- パナソニック セルフヘアーカッター ER-GS40 … 刈り高さは5・10・15・20・25mmの5段階+直刃。公式ページには「刈り高さアタッチメントをとりはずせば、もみあげやエリ足のカットもできます」と明記。
- パナソニック メンズヘアーカッター ER-GC75 … 1mmから20mmまで0.5mm刻みで39段階の長さ調整に対応。細かく詰めたい場合の選択肢に。
なお、パナソニックの解説記事は、もみあげを整える際の道具として「コーム、ヘアーカッター・カミソリ・ハサミなど、鏡」を挙げている。刃物だけでなく、コームと鏡も道具のうちである。特に手鏡は、左右をそろえるうえで欠かせない。
最後に、どのタイプを選んでも共通することが1つある。刃の状態を確認してから使うことだ。切れ味が落ちた刃は毛を引っぱりやすく、断面がそろわない。仕上がりの印象は、腕より先に刃で決まってしまうことがある。
終わったら保湿する
もみあげまわりは、髪ではなく肌の上である。故に、仕上げに肌のケアをしておきたい。
花王は、シェービングと肌の関係についてこう説明している。
シェービングをすると、角層の表面や皮脂などを、不必要に落とす可能性があります
(出典:花王 スキンケアナビ「シェービングとケア」)
同社は、肌を保護して刃のすべりをよくするシェービング剤などを使うことを勧めており、シェービング後は十分に保湿ケアをすることを推奨している。
もみあげを整えるときに、やってはいけない5つのこと
最後に、やらないほうがいいことを整理しておく。
1. もみあげ本体の長さを変える/サイドとのつなぎ目に刃を入れる
この記事で一貫して言ってきたことである。ここは形を「作る」領域であり、失敗すると自分では戻せない。私はここに手を入れて、大失敗をした。
2. 一度にまとめて切る
面積が小さいぶん、取り返しがつかなくなるのが早い。少しずつ、離れて見ながら進める。
3. 刃の状態を確認せずに使う
切れ味が落ちた刃は毛を引っぱりやすい。仕上がりが雑になるだけでなく、肌への負担も増える。
4. 毛抜きで抜く
毛抜きでの処理は、埋没毛(毛が皮膚の外に出られず中で伸びてしまう状態)や毛嚢炎(毛穴の奥で起きる炎症)の原因になると説明されている。
ただし、この点については正直に書いておきたい。この「毛抜きはNG」という説明は、脱毛クリニックや化粧品メーカーの解説として広く流通しているものの、私が調べた範囲では公的機関による一次資料を確認できなかった。
5. 全部剃り落とす
もみあげを完全になくすと、髪と顔の境界そのものが消える。境界が消えれば、顔の縁は逆にぼやける。もみあげは”消す”ものではなく”そろえる”ものだ。
これが、タイトルに置いた「剃りすぎないのがコツ」の意味である。
形は作ってもらう|次のカットで何と言うか
ここまで「自分でやるのは保つところまで」と書いてきた。では、形そのものはどうするのか。
結論、プロに任せてしまうのが1番だ。では、どのように伝えれば良いのか?
私は、「◯◯ミリでお願いします」ではなく、このように伝えている。



「伸びてくるとここが崩れて困るんです」
素人が何ミリ切ったら良いかなんて正直わからない。だが、困っている場所を伝えれば、どうするかはプロが決めてくれる。こちらが持っている情報は「どう困っているか」であって「何ミリが正解か」ではない。その役割分担のほうが、うまくいくだろう。
なお、顔まわりの毛を剃ってもらうことについては、法律上の線引きがあり、顔そりを独立したメニューとして提供できるのは理容師である。「しっかり顔を剃ってもらいたい」ということであれば、理容室が対応する領域になる。
作るのはプロ、保つのは自分。
まとめ
もみあげは、自分で「作る」ものではなく「保つ」ものである。狙うのは、かっこよく仕上げることではない。次に切ってもらうまで、野暮ったく見せないことだ。
この記事の要点を整理しておく。
- 基準は「耳の穴」。短くすっきりなら耳の穴の高さ、自然に見せるなら耳たぶの中ほど
- 切るのは、耳にかかった毛先と、頬へはみ出した毛だけ
- もみあげ本体の長さと、サイドとのつなぎ目には手を入れない(私はここで失敗した)
- 一度にまとめて切らない。左右は手鏡で真横から確認する
- 形は次のカットで、「伸びてくるとここが崩れて困る」と相談して作ってもらう
もみあげは面積の小さい場所だ。だが顔の真横にあり、すれ違うときや、隣に立ったとき、そのまま相手の目に入る。ここが整っているだけで、横顔の印象は変わる。
そして輪郭が整えば、そのあとのセットも決まりやすくなる。
- 今日は、耳にかかった毛先だけを切る
- 次のカットで、「伸びてくるとここが崩れて困る」と相談して形を作ってもらう
- 輪郭が整ったら、整髪料でセットを決める
最後の整髪料選びで迷っているなら、まずは香りで職場に気を遣わなくていい一本から選ぶといい。
















