皆さんこんにちは、“THE BARBER CITY”の運営者の“市長”です。
今回は、“クラシック”バーバースタイルについて紹介していこうと思う。
近年、バーバースタイルの人気が高まり、著名人や俳優を始め、多くの人がその髪型を取り入れている。近代のアレンジが加わったスタイルは、伝統と革新が融合され、その魅力は説明するまでもないだろう。
今でこそバーバースタイルは多くのスタイルが知られているが、そのスタイル毎に歴史的や文化的な背景が存在し、込められたメッセージが存在する。
本記事では、代表的な“クラシック”スタイルを中心に9種類のスタイルを厳選し、それぞれの【ルーツ】、【髪型が意味するところ】、【選ぶときのポイント】を解説していく。
歴史背景や社会との関わりも交えながら、クラシックバーバースタイルの“本質”を感じてもらいたい。
ポンパドール
ルーツ
ポンパドールの歴史を古く、何と18世紀フランス宮廷に仕えたマダム・ド・ポンパドゥール(ジャンヌ=アントワネット・ポワソン)に由来する。現代では男性の髪型として良く知られているため、女性の髪型がルーツだとは驚きだ。髪型の由来は、彼女が前髪を高く盛り上げたスタイルを流行させたことで、その名がついたとされている。
20世紀にはアメリカで再解釈され、エルヴィス・プレスリーを筆頭にロカビリー文化(ロックンロールとカントリーを融合させたファッション)の象徴的ヘアスタイルとして定着した。特に1950年代のアメリカでは、反体制的な若者文化と結びつき、リーゼントとの融合形も多く見られた。
髪型の意味
ポンパドールは「自己主張」「男らしさ」「反骨精神」といったメッセージを持つ。前髪を大胆に立ち上げるデザインは視線を上に引き上げるため、顔立ちをシャープに見せ、堂々とした印象を与える。
これは単なる装飾を超えた“自分を際立たせる”表現であり、古典的かつ不変のスタイルとされる所以である。
選ぶときのポイント
ポンパドールを選ぶ際のポイント以下にまとめたので、参考にしてもらいたい。
- 髪質:直毛、軽いくせ毛
- 顔型:面長、ベース型
- スタイリング:ポマードやグリースが必須
スリックバック
ルーツ
スリックバックの原型は1920〜30年代のヨーロッパ上流階級に見られた、グルーミング(手入れ全般の事)を重視したジェントルマンスタイルに遡る。髪をなでつけて後方に流すこのスタイルは、社会的地位や秩序を強調するものであり、清潔感と支配力を表現していた。
その後、アメリカでビジネスマンやギャングスタイルとしても普及し、時代ごとに形を変えながら現在に至る。
以前、知り合いの美容師さんから、ルーツはマフィアやだという話を聞いた。他勢力との抗争で、激しく銃撃戦を繰り広げるというシーンは、映画やドラマでおなじみである。その際、髪が落ちてきて目線にかからないようにするため、また、敵の血がついた手でも容易にスタイリングを直すことができるため、というのが理由らしい。
真偽はさておき、何ともロマンに溢れる話ではないか。
髪型の意味
スリックバックは「洗練」「統制」「自信」といった印象を強く与える。髪をしっかり後方に流すことで額や顔全体が露出し、隠し事のないオープンな態度を演出する。
また、横に流すサイドパートとは異なり、真正面に向き合う力強さが内包されている。
選ぶときのポイント
スリックバックを選ぶ際のポイント以下にまとめたので、参考にしてもらいたい。
- 髪の長さ:中〜眺め
- 髪質:直毛、癖毛、波状毛
- 顔型:丸顔、四角顔
- スタイリング:ポマード、ジェルが必須
この髪型は、顔の輪郭を引き締めて見せる効果がある。また、よりクラシック志向が強い人にオススメだ。
リーゼント
ルーツ
リーゼントは、ポンパドールのアメリカ版とも言えるロックンロール文化と、日本の昭和期の不良文化をミックスしたスタイルである。厳密に言うとリーゼントという髪型は無く、ポンパドールに分類されるが、ここでは1つの髪型として紹介していく。
先述したが、ポンパドールは1950年代のアメリカでエルヴィス・プレスリーが流行させた。そのスタイルが日本に輸入され、1970〜80年代のツッパリ文化と融合したことで、日本独自のリーゼント像が確立された。


リーゼントの特徴として、サイドの髪を後ろへ流し、後方でまとめるようにスタイリングする点が上げられる。アメリカでは下の写真用なスタイルを「ダックテール(アヒルの尻尾)」と呼ぶ。
髪型の意味
リーゼントは「反骨」「誇り」「男気」の象徴である。日本においては特に、“男らしさの象徴”として不良文化や硬派な精神と結びつけられてきた。
男というよりは漢という表現のほうがふさわしいだろう。
スタイル自体に威圧感と気迫が宿り、見る者に強烈な存在感を与える。
選ぶときのポイント
スリックバックを選ぶ際のポイント以下にまとめたので、参考にしてもらいたい。
- 髪質:直毛、癖毛
- 顔型:どの顔型にも適応するが、髪の切り方で調整する
- スタイリング:かなり難易度が高い。ドライヤーや整髪料(グリース・ポマード)を使いこなす必要がある
リーゼントは、高度なセット技術を要するスタイルである。サイドを刈り上げるか、自然に残すかによって印象が変わるため、顔の骨格やファッションとのバランスを見て調整する。
このスタイルを取り入れる際には、入念に理容師や美容師と相談する必要がある。
特に覚悟をもって臨むスタイルである。(だからこそ、バッチリ決まっていると、”漢”の格があがるのだろう)
サイドパート

ルーツ
サイドパートは20世紀初頭のヨーロッパに端を発し、1930年代のアメリカで一躍スタンダードスタイルとなった。
ビジネスマン、軍人、大学生といった各階層で支持され、規律・清潔・誠実の象徴として定着した。
特に第二次世界大戦期以降のアメリカでは、正装とセットで用いられる髪型として普及し、クラシック・バーバー文化における基本型となった。
髪型の意味
サイドパートは「誠実」「秩序」「信頼感」を表す。髪を片側に流すことで、対称的な顔の印象にバランスと知性を加え、職業人としての自信と安心感を演出する。
現代においてもビジネススタイルとの相性が良く、清潔感と落ち着きを重視する人物像を象徴する髪型である。
選ぶときのポイント
サイドパートを選ぶ際のポイント以下にまとめたので、参考にしてもらいたい。
- 髪質:直毛〜癖毛
- 顔型:丸顔、面長
- スタイリング:ポマード、ジェル
分け目を明確に作ることが鍵であり、フェイスラインを整える効果もある。オン・オフどちらにも対応できる汎用性の高さが特徴で、分け目を剃り込む「ハードパート」との組み合わせで現代的アレンジも可能である。
アイビーカット
ルーツ
アイビーリーグカットは、1950〜60年代のアメリカ東部名門大学群「アイビーリーグ」の学生たちの間で流行したことから名付けられた。
プレッピースタイル(アメリカの名門私立学校や一流大学に通う学生のファッションをイメージした、上品で洗練されたスタイルの)と密接に結びついており、学問・スポーツ・社交性を兼ね備えた理想的な学生像の象徴として位置づけられていた。マディソン・アベニューの広告業界を舞台にしたTVドラマ『Mad Men』に登場するようなビジネスマンたちの髪型としても定着している。

髪型の意味
アイビーリーグカットは「知性」「育ちの良さ」「品格」を意味する。
サイドを短く刈り込み、トップを自然に流すスタイルは堅実かつスタイリッシュであり、スマートな印象を与える。装いとの調和を重視するジェントルマン文化に通じる髪型である。
選ぶときのポイント
サイドパートを選ぶ際のポイント以下にまとめたので、参考にしてもらいたい。
- 髪質:細すぎないことが望ましい
- 顔型:幅広く対応
- スタイリング:グリース、ジェル、ポマード
清潔感とバランスが重視される髪型であるが、ナチュラルに流すか、サイドパート風に仕上げるかで印象を調整可能。
控えめでありながらも洒脱な印象を求める者に最適である。
フラットトップ
ルーツ
フラットトップは1950年代のアメリカで誕生した。軍隊・スポーツ界・ブルーカラーの象徴的スタイルである。特に海兵隊員の中で人気を博し、鋭角なラインと均整の取れたフォルムは規律と強さを体現していた。
後にヒップホップ文化の中でも取り入れられ、1980〜90年代にはアフリカ系アメリカ人の間で再流行した経緯もある。
髪型の意味
フラットトップは軍隊がルーツということもあり、「規律」「精悍さ」「機能性」を表す。
トップを平らに切り揃えることで、頭部のシルエットに構造的な美しさを与え、直線的なデザインが男らしさを強調する。無駄のないフォルムは、職業的・肉体的に鍛え上げられた印象を与える。
選ぶときのポイント
フラットトップを選ぶ際のポイント以下にまとめたので、参考にしてもらいたい。
- 髪質:硬め、直毛
- 顔型:骨格が整っている(特に側頭部・頭頂部)
- スタイリング:マットポマード
ミリ単位での整形が必要であるため、フラットトップに熟練したバーバーの存在が不可欠である。定期的なメンテナンスも求められるため、強いこだわりとケアの意識が必要となる。
バズカット
ルーツ
バズカットはアメリカ軍の新兵教育における標準スタイルとして知られており、その歴史は第一次世界大戦期にまで遡る。
衛生面の管理と服従の象徴として採用され、丸刈りに近いそのスタイルは軍隊文化の象徴であった。また、戦後の民間社会でもその簡便さと清潔感から徐々に一般化し、今日ではファッションとしても成立している。
髪型の意味
バズカットは「潔さ」「強さ」「シンプルな信念」を表す。
装飾を廃したこのスタイルは、自分に無駄を許さない意志と潔さの象徴である。特に社会的なステータスや流行に左右されず、自己確立した男性像を演出する髪型でもある。
選ぶときのポイント
バズカットを選ぶ際のポイント以下にまとめたので、参考にしてもらいたい。
- 髪質:直毛、癖毛ともに可。髪質によって雰囲気も変わる。
- 顔型:頭の形が整っているかが重要。顔つきにシャープさがあるとバランスが取りやすい。
- スタイリング:必要なし
トリマー一つでセルフカットも可能だが、微妙なグラデーションを入れる場合はプロの手が必要である。たかがボウズ、されどボウズである。
手入れは非常に簡便で、忙しいライフスタイルを送る人間にも適している。
クルーカット

ルーツ
クルーカットは1920年代、アメリカの大学ボート部員(クルー)により考案された。ヘルメットの装着や運動中の視界確保のため、短く整えられた実用的なスタイルがその起源である。
第二次世界大戦中には軍隊でも広く採用され、戦後はアメリカン・クラシックスタイルの代表格となった。
髪型の意味
クルーカットは「機能性」「自信」「控えめなエレガンス」を表す。
短く刈り込まれたスタイルは実直さと自立性を印象付け、無駄のない美学を感じさせる。派手さを抑えつつ、男らしさをしっかりと表現できる点で、実用と美観を兼ね備えた髪型である。
選ぶときのポイント
バズカットを選ぶ際のポイント以下にまとめたので、参考にしてもらいたい。
- 髪質:直毛、癖毛ともに可
- 顔型:工夫次第でどんな顔型でも対応可
- スタイリング:ほぼ不要
ビジネスにもカジュアルにも対応でき、極めてメンテナンスが容易なため、日常のケアに手間をかけたくない人にも適している。
バーバースタイル初心者にもオススメの髪型の1つだ。
エグゼクティブコンツアー

ルーツ
エグゼクティブコンツアーは、1940〜50年代のアメリカでビジネスマンや社会的地位のある男性に好まれた髪型である。クラシックバーバースタイルの集大成とも言えるこのスタイルは、ポンパドールとサイドパートを融合させた構造を持ち、頭部の輪郭(contour)を際立たせる形で設計されている。
髪型の意味
エグゼクティブコンツアーは「威厳」「統率力」「洗練された知性」を表す。
フォーマルな場においても崩れない造形美は、組織の中でリーダーとしての立場を体現するものである。古き良きアメリカ紳士の佇まいを保ちつつ、現代でも十分に通用するクラシックの王道である。
選ぶときのポイント
エグゼクティブコンツアーを選ぶ際のポイント以下にまとめたので、参考にしてもらいたい。
- 髪質:直毛、癖毛ともに可
- 顔型:スタイリングで調整するため、どんな顔型でも可
- スタイリング:ポマード、グリース
コンツアー(頭部の輪郭)と名がつく通り、頭の骨格や毛流れに合わせて、美しいフォルムを作ることが重要である。
しっかりと輪郭をキープする必要があるため、スタイリングに手間はかかるが、その分完成度は高い。クラシックスタイルを貫きたい者には最適である。
まとめ
クラシックバーバースタイルにおける各髪型には、単なる「見た目」を超えた意味があるということをご理解いただけただろうか。
ポンパドールが誇り高き男の美学を語り、サイドパートが知性と品位を演出し、バズカットが潔さと覚悟を象徴するように――髪型はあなたの内面を静かに、だが力強く表現する。
だからこそ重要なのは、自分にとって最も「似合う」スタイルを見極めることだ。
もちろん私の記事で自分に合うスタイルを見つけてもらいたいが、悩んだときにはプロフェッショナルの力を借りよう。美容や理容のプロは、骨格や髪質に合わせた提案はもちろん、あなたが「なりたい男像」に沿って、最適なスタイルを導いてくれる。
今回のまとめ
- 各スタイルには表現している意味がある。
- 王道は、スリックバック・サイドパート・クルーカット・エグゼクティブコンツアー
- 髪質や顔型でスタイルの向き不向きがある。
- 自分に似合うスタイルを見つけよう。必要ならプロの力を借りよう。
【Mayor’s comment〜市長のひと言〜】
髪型を選ぶとは、自分を知り、自分を表現する行為である。